carbon

カーボンについて

カーボン用途の広がり

前項で特殊炭素製品の用途を一覧しましたが、冶金用では工業炉メーカーなどへ発熱体、 高周波電極ホットプレスモールドや炉内の冶具部品などがあります。
特に最近ファインセラミック分野で、 例えばチッ化アルミなどの微粉を高温高圧(例えば2000℃、1000kg/cm2)で圧縮して固め、 新しい高性能材料を作ることが多くなりました。
これにホットプレス炉が使われ、C/Cモールドやカーボンパンチ棒などが増えています。

冶金用では他に自動車部品や超硬工具などの焼結金属製品の焼成炉で、トレイ、セッター、試料ケースなどのカーボン製品が 古くから使われています。
更に冶金では近年半導体製造に多量のカーボンが使用されています。
例えばシリコンの単結晶や 多結晶引き上げ装置などはカーボンのかたまりです。
ルツボ、ヒーター、断熱材すべてカーボンです。
他に半導体のウエハー処理工程で使われるサセプターやホルダー類、 イオン注入装置の電極やマスク板など多岐に渡ります。
また、半導体用部品を作る型としてダミーウエハー用カーボン型や PBN(P-ボロンナイトライド)ルツボやボートなどのカーボン型などが増えています。
これらは何れもカーボンが耐熱性に優れ化学的に安定しているので使われています。

機械用も増えてこそいないが多くの分野で使われています。
特にメカニカルシール用途が多く、また軸受にもまだかなり使われています。
これらはカーボンの摩擦が少ないという性質が活かされています。
電気用では、量産タイプのブラシは自動車、電車、家電などで大量に使用されています。
車のガラス窓の上下やミラー操作などには全てモーターが着いていますが、それには全部ブラシが使われています。

電気用途では今後燃料電池や電気自動車電池のカーボン電極が有望といわれています。
材料、航空機のブレーキ用としてC/Cコンポジットを開発したり販売しています。
更に原子炉にも内外壁のタイルや核分裂反応の制御材料としてカーボンが使われています。
またカーボンが化学的に安定なことからアメリカでは十数年前から体内に埋め込んだ心臓弁に使われています。

このようにカーボンはかなり昔から使われている古い材料ですが、前項で述べた素晴らしい性質があるため 新しい使い方がどんどん生まれてますます用途が拡大しています。
特に近年様々なハイテク分野で高温で処理する必要が増えており、 今後も更に広がると予想されます。
その上カーボン材料そのものも、昔からの天然黒鉛、人造黒鉛に加えて十数年前からは C/Cコンポジットやグラッシーカーボンなどの新しいカーボン材料が開発されてきました。

更に最近では黒鉛やダイヤモンドとは全く異なる新しい炭素分子が発見されています。
フラーレンというサッカーボールのような球状をしたものや、ナノチューブという管状の炭素分子です。
まだ研究レベルではありますが、カーボン材料や炭素分子自身新しいものが生まれており、今後まだまだ楽しみのある材料といえます。